付言の具体例

遺言を作成するに至った趣旨、理由を補足し、書ききれなかったことを説明する内容

 

 ①例えば、遺言を書くわけですから、一見不平等に見える項目が記載されていたとします。

 その遺産の配分の理由を、少ない配分を指定された相続人が納得するような理由や、逆に多く配分を受けた相続人にその役割を理解してもらう内容を記載するものです。

 

 ②娘が結婚した時に生前贈与として○○○〇万円援助しているので、それを加味して今回の配分が公平であることを説明する内容。

 

 ③息子が自宅を買う際に生前贈与として○○○○万円援助しているので、それを加味して今回の配分が公平であることを説明する内容。

 

 ④次男に他のものより多く財産を渡すのは、次男が結婚もせず、病気がちで、生活をしていけるか心配なので多くした等の内容。

 

 ⑤遺言者は、亡き夫とともに苦労して財産を築き上げました。息子はここ10年より付きもしません。何かと面倒を見てくれる甥に財産をあげることにした内容。

 

⑤の考え方

 推定相続人が予想もしていない内容の遺言については、必ずと言ってよいほど推定相続人からの異議が唱えられ、紛争が生じる可能性が高いです。

 その際、問題となるのは、遺言者の意思能力であり、この遺言が遺言者の真意かどうかです。すくない配分を受けた推定相続人は、多く配分を受けた推定相続人が勝手に書いた遺言書だと疑るのです。

 その判断に際しては、精神状態および日常生活の状況であり、遺言者自らがどのように判断し、考えたかが客観的資料に裏付けられているこが重要になります。

 この意味から、付言中に、遺言者自らの意思に基づいて、遺言を作成したことがわかるようにしておくことが大切です。

 

⑤の解説(意思能力)

 遺言者が遺言をするには、その時に意思能力、すなわち遺言内容およびその法律効果を理解して判断するのに必要な能力を有することが必要とされています。また、意思能力の程度は、意思の内容との関係で、遺言内容がたとえば「すべての財産を長男に相続させる」という極めて単純なものであれば、この内容を理解して決定するだけの程度であればよいとされています。

 

⑤の解説(遺言意思能力の判断資料)

 遺言作成前後の遺言者の精神状態および日常生活の状況に関する事実を踏まえて判断されます。

 その事実を認定する客観的資料として、入院、通院、老人介護サービス診療録、介護サービス記録、入所記録等、介護保険の受給等のための要介護認定記録、その添付資料としての主治医意見書、担当者の報告書、親族等に係る質問表(回答書)の記載内容、遺言者の頭部画像検査の結果、長谷川式認知症評価スケール(HDS-R)、医師の診断ないし所見等があります。

 

⑤の解説(付言に記載する事項について)

 遺言作成の背景にある事情を踏まえて、、遺言者自らの意思でこのような遺言を作成するに至ったことを明らかにすることで、遺言作成時における、遺言者自ら判断できる意思能力、つまり意思判断能力があったことを客観的に裏付ける一つの資料として扱われるようにしたものです。

 

付言の具体例 目次

遺言作成の基礎

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